'02年 秋の講演会報告

「帰国子女」はもういらない?
−多文化共生の社会に向けて私達に出来ること−

(11月10日 横浜市青葉区公会堂にて)

 11月10日(日)『「帰国子女」は、もういらない?』の講演会を行いました。

講師には、横浜市立小学校や、ハンブルグ日本語学校(補習校)、バージニア州公立小学校(日本語イマージョンプログラム)、ワシントン日本語学校(補習校)での教諭経験をお持ちの 佐々 信行先生(現啓明学園初等学校校長)をお迎えいたしました。

参加者は一般大人26名。学生4名。それにメンバー15名も参加致しました。
日曜日ということもあって、一般参加の方のうち男性が5名、学生さんの参加もありました。
(月刊帰国子女教育、タウンニュースの取材もはいりました。)

 先生が一方的に講演をするというのではなく、参加者に問いかけ、それに答えながら、話しがすすんでいくという形式で行われました。
また、講演のあとには軽食をはさみ、午後は’Tea&Talk’という時間を設け、参加者同士が感想を話し合う時間も持ちました。

講演内容は大きく4つ。
1、「帰国子女」の悩みはどこに。
2、「帰国子女」をめぐる環境はどう変わってきたか。
3、元気な「帰国子女」をさがせ。
4、希望はどこにあるかー今からできることは

以下、参加者からいただいた感想をご紹介します。

11月10日、T−GALの講演会で佐々先生のお話を伺い、皆さんと話し合う機会を頂きました。先生の温かいお人柄、出席者の熱心な思いにふれながら、日頃漠然と考えていることを整理することができ、感謝しております。

 現在、海外に日本の小中学生5万2千人が暮らし、一昨年は1万1千人の小中学生が帰国したことをうかがい、それだけの数の大きなドラマがある事に思いをめぐらせました。日本の社会は、画一的で人との違いを認めにくい社会である事が指摘されています。海外で自己主張を第一に学んだ子ども達は、日本の学校という社会で自分を出せずにとまどっていることも多くあります。その中で、佐々先生のおっしゃる「元気な帰国子女」達は、上手に自分を出して、認められていっているようです。
 我が家の高校2年生の息子は、帰国前、ケニアの日本人学校の先生に「出る杭は打たれるけれど、出過ぎる杭は打たれない。」と、励まされて(?)いました。日本の同年齢集団の中では個性的すぎるであろう事を心配して下さったようです。実際に、打たれてしまった子ども達を、何人も見てきました。たしかに、佐々先生のおっしゃるとおり、帰国生はもともと自分というものを持っている子達なので、プラス思考にやりたいことを貫いていけば、周りもそれを認めてくれるのでしょう。「さくら」のように、周囲を動かしている帰国生もいるのでしょう。
 一方、帰国生でなくても、画一的な学校文化になじめずに苦しんでいる子ども達もおおぜいいます。今、全国の小中学校で13万人の子ども達が不登校になり、ひきこもりの青年、成人は50万人とも100万人とも言われています。そのように苦しんでいる人たちや、すべての帰国生が、プラス思考で元気にやっていけるために、もう少しゆとりをもった社会に変わっていく事を願ってやみません。

 先生のお話の最後は、今私たちにできること、ということでした。少しばかりの勇気を出して、子どもの学校や身近な社会で、他の方の意見も尊重しながらも自分の考えを発信しつづけること、そのためのネットワークづくりをしていくこと……。自分と違った価値観を認めあい、お互いを尊重する社会をめざすため、私たちができることを少しでもすすめていきたいものです。

(reported by S.K.)


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